パンデミックを題材にした『哭悲/THE SADNESS』、宗教施設の禁忌に端を発する『呪詛』をはじめ、鋭く良質なホラーを放ち続ける台湾から新たな傑作ホラー『呪葬』。公開当時の年間ランキング(台湾映画)で6位を記録した大ヒット作。
祖父の葬儀のため、大都市台北を離れ、長らく疎遠だった実家に帰郷したシングルマザーのチュンファと娘のチンシェン。しかし、2人を迎えたのは冷え切った家族と、不穏な影が潜む不気味な屋敷だった。監督を務めるシェン・ダングイ監督は「”初七日”は台湾ではよく知られた風習です。自らの死を悟った者の魂が、家族に別れを告げに家に帰って来るというものです。幼少期から、誰もが経験している風習と言えます。」と原題「頭七」の意でもある台湾での「初七日」について解説する。
そんな大事な節目とも言える法要を目の前に帰省した、母娘と【家】の本編映像が解禁。
不躾な視線を投げつける家族を振り切ったのち、たなびく忌中布をくぐり、かつての自室へと続く空間に足を踏み入れたチュンファ。古びた様子を見渡すもつかの間、電気を点けると、位牌が倒れてしまう。
慌てて手に取ったものの、先祖代々の魂が宿る位牌の苗字、「李」の文字が禍々しく、血の色を放ち滲み始め…。幻視を振り切るように、チンシェンの「部屋は?」という問いかけに応えるチュンファ。そんな母親とは真逆に、物々しい雰囲気を気にも留めず、興味津々のまま階段を上り、屋敷の広さに驚嘆の声を上げるチンシェン。
ワンカットで彼女を追うカメラは、まるで彼女に付き添う「何か」のような視点で、その動きを追い続ける…。
チュンファの「チンシェン こっちよ」という呼びかけで部屋の外に出たチンシェン。本来であれば開放感溢れるはずの吹き抜けも、寒々しく奇妙な閉塞感に満ちている。「まさか、そんなことが起こるはずがない…。」ちょっとした違和感は、やがて母娘を大きな禍へと誘うのだった―。
■『呪葬』本編映像
7月12日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋他にてロードショー